台湾からの訪日影響で茨城県内の宿泊客が大幅増

2018年3月26日、台湾に本社を置く格安航空会社「タイガーエア台湾」の茨城と台北を結ぶプログラムチャーター便が就航した。それから3カ月弱が経った茨城県内では、台湾からの観光客が急増し、もてなし機運が高まっている。県内の観光地には訪れる外国人団体客の約6割は台湾からだが、公共交通をはじめとした観光案内表示が追い付かないなど課題も浮上しているのが現状だ。

■接客強化
5月下旬の大洗ホテル(大洗町)に、台湾ツアー客35人の予約が入った。行き先は東京ディズニーリゾートや県内の水郷潮来あやめ園、大洗水族館などだ。「昨年の年間宿泊客の5%弱が台湾から。今年は5%強に」と榊原真一総支配人(49)は意気込む。案内役に台湾出身者を雇い、今は鍾明儀さん(51)が担当する。名刺には中国語でホテルを意味する「酒店」の文字。裏側は日本語だ。ロビーには中国向けの簡体字と台湾や香港向けの繁体字の観光パンフレットが並ぶ。外国語研修を定期的に行い、スタッフの接客向上も図る。海辺のホテルは夏場が書き入れ時で、春と秋は従来閑散期だった。数年前からひたち海浜公園の人気が波及し、ホテルにほど近い同町のシンボル「神磯鳥居」や、同町が舞台のアニメ「ガールズ&パンツァー(ガルパン)」が目当ての客も増えた。台湾人の茨城観について鍾さんは「数年前は茨城ってどこ? という反応だった。最近は鳥居と海浜公園と言われる」と話す。

■宿泊2万人
県国際観光課によると、県内を訪れる外国人客数は統計がなく、宿泊数でおおよその傾向が読み取れる。観光庁の統計を基に本県に宿泊した外国人の推移を見ると、台湾は2012年の2230人から、15年は1万2510人と1万人を突破。16年は2万5140人、17年は数を減らしたものの1万9520人だった。17年の県内外国人宿泊客19万1030人のうち、中国が5万2630人で全体の約3割を占めた。台湾は2番目で1割近く、米国の1万5800人、韓国の1万2880人をしのいだ。茨城空港(小美玉市)では今年3〜10月に台湾の格安航空会社が週2回、チャーター便を運航している。

■ストーリー性
「台湾、韓国はゴルフ好きな人が多い」と同課。本県のゴルフ場に向かう来日客も目立ち始めている。こうした傾向を受け、畑岡奈紗プロらを生みゴルフが盛んな笠間市は、8月に台湾事務所の開設を決めた。スパ&ゴルフリゾート久慈(常陸太田市)は約2年前から台湾客が増え、リピーターもいる。ツアー客の成田空港送迎を無料にするサービスなどを用意する。「機を見て伸ばせる分野とはいえ、まだまだ課題は多い」(担当者)。県内のホテルやゴルフ場では、日英中韓の各国語に対応した案内版を掲げるなどしてトラブルを防ぐ。来客からはバスなど公共交通の案内が分かりにくいとの指摘があり、県全体の「もてなし」は発展途上にある。台湾側は日本の観光地に何を求めるのか。台湾の雑誌記者で何度か来県した周麗淑さんは「せっかくの旅行で移動に時間を費やしたくない。1カ所で観光や体験ができる方がいい。人気の花の名所同士を結ぶ『ストーリー性』も必要だ」と話す。「富裕層の受け皿となる高級な宿、有名ホテルが足りない」として、県は本年度、最大10億円の大型補助金で高級宿泊施設の誘致を目指す。県内宿泊施設の関係者は「一概に富裕層と言っても幅がある。しっかりターゲットを絞るべき」と行方を注視する。

参照:茨城新聞2018年6月18日記事

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