写真:©総本山仁和寺
世界遺産の仁和寺(京都市)が境内の旧家屋「松林庵」を高級宿坊に改築した。宿泊できるのは1日1組で、宿泊者は歴代の住職が執務室として使う「御殿」も一晩貸し切ることができる。宿泊者が希望すれば、雅楽鑑賞や生け花といった日本ならではの体験も楽しめる。料金は1泊100万円(税別)。ターゲットは日本を訪れる海外の富裕層が対象だ。
松林庵は木造2階建てで、延床面積は約160平方メートル。国宝の金堂、重要文化財の五重塔などから少し離れた場所にあり、ここ数年は空き家だった。住友林業グループと組み、家屋の耐震補強や内部を改修。庭園もあしらえた。総工費は約1億5700万円だ。
世界遺産といえども、大勢の観光客が集う寺院だけではく、修繕費の高騰等で財政難を脱するべく新事業に手を出す寺院は仁和寺だけではない。財政難から敷地内に高級マンションを建設した下鴨神社も然り。
京都では、日本のインバウンドや富裕層客の追い風を前面から受けてきた。そのノウハウを活かし、次の時代につなぐ寺社の財政のあり方を、伝統を守りつつ新しい風を取り入れる試行錯誤が重要となっている。
総本山仁和寺 松林庵 概要
住 所 京都市右京区御室大内33番地 仁和寺内 面 積 延床 159.97㎡ 構 造 木造2階建 施設内容 居室9、浴室、脱衣所、トイレ、洗面所 工事内容 屋根瓦交換・破損部分修理、耐震補強工事、浴室・脱衣所・洗面所設置、玄関増築、襖・建具・畳等備品整備、修景工事、造成工事、数奇屋門設置 総事業費 156,734,520円 (日本財団発表)
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