日本の錦鯉(にしきごい)の世界的な人気が、関連企業に活況をもたらしている。
観賞魚向け飼料開発・製造の国内シェアトップのキョーリンは日本国内市場が縮む中で、いち早く世界に目を向けて、錦鯉の高級餌でブランド力を高め、ウォルマート(米国)や各国で全国展開するチェーン店に販路を築いている。
錦鯉にのめり込んだ富裕層はコンテストに勝つため、餌にこだわり、最上位品は5キロ5千~6千円。錦鯉の頂点を決める全日本総合錦鯉品評会の歴代チャンピオンが採用してきた実績もあり、右肩上がりが続いている。大きく色鮮やかな最高級のものは海外の富豪が競って買い求め、1匹数千万円に高騰することもある。かつては自国の日本庭園を彩るために買い求めていたが、昨今は持ち帰らずに、日本の養鯉(ようり)業者に飼育を委ねるオーナーも多い。その結果、国内の品評会は、栄誉を目指す外国人オーナーが上位を席巻する勢いとなっている。現在、国内の品評会の3割にあたる約600匹が海外オーナーだという。
福伸電機は、ソーラーパネルからも給電できタイマーで設定した時間に自動的に餌をまく自動給餌機「餌やり名人」を製造している。価格は8万~18万円。もともとは養殖向けを製造してきたが、広い池で錦鯉を飼う海外での需要も見込んでいる。
インドネシアの仲買人は工場主たちを顧客に抱え、数百万円クラスの購入を仲介。
錦鯉は冬の冷え込みで白地を際立たせ、美しいコントラストを描く。インドネシアは年中暑いので、色鮮やかに育たないため日本で職人に任せ、高額な鯉は日本に残し品評会に挑む。馬主のように育成を専門家に委ね、入賞の栄誉に浴するという。
人気の中心はかつて欧州だったが2000年ごろから中国、タイ、インドネシアが伸び、インドやミャンマーなどの新興国ではこれから人気が出るとブームの広がりを予感する。