世界の富裕層に向けた繊維王国福井県の取り組みとは?

福井県の織物製造3社は15日、技術の発信と維持を目的とした共通ブランド「BATTAN BATTAN(バッタンバッタン)」を立ち上げたと発表した。首都圏や欧州、香港などの富裕層向けに高級ストールを製造し、今秋をメドに百貨店や新設するブランドサイトで販売を始める。

ブランド名「バッタン」の由来は「バッタン機」という手織機に由来すると思われる。
福井県出身の細井順子氏が、明治9年(1876)34歳の時県費研修生に選ばれて、京都で「バッタン機」による手織り技術を習得。帰郷後は織工会社(毛矢町)において、品質改良に研鑚を重ね多くの人々に教えた。この努力によって、福井の名は世界に広まり、繊維王国とよばれるまでになったと言われている。

国内トップクラスの織りの技術を持つ織工房風美舎(福井市)、山崎ビロード(越前市)、東野東吉織物(勝山市)の3社が連携し、それぞれの技術を用いてストールを製造した。本来は企業秘密の独自の織り技術も共有しながら各社が「いまだ世にない」という製品の開発を目指す。

ブランドとしての展開に加え、海外のトップブランドからの受注拡大にもつなげたい考えのようだ。

ブランドの共同代表を務める織工房風美舎の沢田真介社長は「若者が(織物業を)志すきっかけをつくり、産地の技術を維持することが最大の目的だ」と話す。

ストールは生地の素材感が出やすく技術力をアピールできるとして商材に選んだ。メッシュ生地をつくるカラミ織り、ベルベット、和服の胴裏をつくるぬれよこ羽二重の3種類の織り方で、5つの製品を用意。いずれもシルクとカシミヤを使い、ブランドとしての統一感を出している。

価格は10万円前後を予定。販売と製造は製品ごとに3社が分担する。当初は1社当たり年間300枚程度の製造が可能としている。
日本の布はアジアの富裕層の中で人気のお土産の1つである。
良いものを知っている富裕層に認められれば、海外のトップブランドからの受注も夢ではないだろう。

記事元(日本経済新聞)はこちらから

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